2016年度、ラリーインターナショナルへ参加された吉田悠斗さん(早稲田大学政治経済学部4年)の報告会が、1月28日午後、早稲田大学留学センターで行われました。会場には、ラリーインターナショナルの前身であるオペレーションラリーに参加されたOBの方々や、参加者の知人らが50人集まり、タンザニアの文化や生活のことのみならず、一人一人が豊かさとは何かを考える良い機会にもなりました。
▲報告会には、年齢層が幅広い、総勢50名が集まった
約1時間の報告会の中では、色鮮やかなタンザニアの風景の写真が多く使われて、吉田君の3か月の体験を追体験したような気分になりました。報告会では、吉田君が3か月間に体験をした三つのプロジェクト(衛生知識を教えるWASHプロジェクト、250kmの道のりを仲間と共に歩き続けるトレッキング、そして植林活動が主な自然資源保護プロジェクト)が紹介されました。日本とは全く異なるタンザニアの社会での3か月間、吉田君は心を揺さぶられるような数多くの体験を通じて、多くの学びや気づき、困難や喜びを得ました。
▲タンザニアのベースキャンプの風景。
1,400万、およそ人口の30%の人々が衛生的な水を得ることができないタンザニアでは、水に関する健康被害が深刻な問題になっています。その解決のために始まったSWASHプロジェクトの際に、住民の衛生意識に関して聞き取り調査を行いました。彼が “最もショックを受けた”と語るのは、一軒一軒の家々に対し、水質環境や健康状況を訪ね歩く中で、一人のお母さんから、”ではあなたたちは、私たちに何をしてくれるの?”と聞かれました。目の前にいる、一人の母親に対して、自分ができることは何もないんだ、という無力感を感じました。しかし、共に活動をする仲間たちの積極的な姿勢を見て、たとえ無力だとしても、今できることを精いっぱいやろう、と気持ちを切り替え、全力でボランティア活動に当たりました。
つづくトレッキングフェイズにも、困難は続きます。吉田君は”人生で最も厳しい出来事であった”と語りました。全長250kmの道のりを19日間かけて歩き続けるこのフェイズでは、慣れない英語でのコミュニケーションに加え、30kgの重い荷物を背負い毎日数十キロを移動する、肉体的な疲労が重なり限界まで疲弊をした。そんな苦労の連続の中でも、タンザニアの大地の美しい景色や、活気があふれるベンチャラーに囲まれ、無事3週間のトレッキングを終えることができました。
様々な困難を乗り越えて、最も心に残るのは、”世界中の友人との出会い”だと、語ります。
▲タンザニア人、アメリカ人…多様な背景を持つ人々が集まり、共に一つの活動をすることがラリーの醍醐味。
“ラリーの活動で出会った仲間たちは、今もどこかで頑張っている。そんな友人の事を思うだけで、自分も頑張ろうという気に奮い立たせてくれる。世界の中で出会った友人たちが、僕がラリーに参加して得た一番の成果だ。”
ラリーでの体験や、共に過ごした仲間たちとの出会いが、心の糧となり、これからの彼の将来を切り開いてゆくのだと、実感することのできた報告会になりました。
▲吉田君が絵を描き、完成させた小学校のトイレ。このトイレは前回のプログラムに参加したボランティアが完成させたものであり、ラリーの歴史が脈々と受け継がれていることが分かった、と述べた。