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Pura Vida!

コスタリカでの10週間のexpeditionを無事終えて、12月22日に帰国しました高井保奈美です。今でも、あの体験が10週間だったというのが信じられないくらい、あっという間に時間が過ぎていった感じがします。今回は第2、第3フェーズについての報告をしたいと思います。少し報告が長くなると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。

第2フェーズはコスタリカの国立公園、La Martaというところでenvironmentのプロジェクトに参加しました。ラマルタは川がとっても綺麗で川遊びのできるriver poolが有名です。1日の流れとしては7:30過ぎから仕事を開始、昼頃には仕事を終えて午後はアクティビティや自由時間、6時過ぎには晩ご飯で9時頃就寝、といった感じでした。仕事内容としては、国立公園内の登山道の整備とレンジャーハウスの整備、遺跡の掃除などを国立公園で行ったほか、近くの街でボーイスカウトとの交流、アクションデイとして小学校で子供たちに特別授業なども行いました。(現在、コスタリカでは教師のストライキによって3ヶ月ほど授業が行われていないところが多いようです。)

初日はレンジャーハウスにてラマルタと提携している大学教授や実際にラマルタで働いているレンジャーの人からラマルタについてプチ講義を受けました。途中、部屋にハチドリが飛び込んできたり、建物の外の車に何故かナマケモノがくっついて、ナマケモノを木に返すために講義を一時中断したり、ととっても楽しい時間になりました。次の日から具体的に仕事が始まり、よし、自然の中で働けるぞ!と意気込んでいたら、何故かレンジャーハウスのキッチンの裏の崖を掘り起こす作業。最初は何故キッチンの裏の崖を掘っているんだ?と疑問だらけでした。その後、午後の時間のアクティビティで、environment のshort term, medium term, long term の視点について議論しました。例えばレンジャーハウスを整備すること(観光客の宿泊所も兼ねています)は観光客にとってより魅力的な国立公園を作ること、たくさんの観光客が来るようになればラマルタにお金が入り、より保護にお金をかけられる、熱帯雨林を保護することで、地球温暖化を少しでも食い止めることに繋がる、など、environmentのフェーズとして自然を相手に働く上で、long term を意識して働くことが大事なのだと学びました。しかし時にはそれが難しいこともありました。ある日、公園内の登山道の整備をしていましたが、その日は朝から雨で降りしきる雨の中の作業になりました。基本的には、坂になっているところに階段を作る、道が狭いところの幅を広げる、など登山道を快適にするための作業でしたが、雨の中土を掘り起こすと、余計泥だらけになり作業する前よりも悪くなっていっている気がしました。休憩時間、みんなで話し合いレンジャーの人にこのままの作業を続けることが本当に良いのか確認しよう、ということになりました。レンジャーの人に確認すると、「とっても君たちの仕事に満足しているよ、今日は雨だから泥だらけだけど晴れた日にはとても良い登山道になっているよ」ということで結局そのまま作業を続けることになりました。その時感じたのは、短期のボランティアでは長期的な視点を持つ、と言っても自分たちのした仕事内容が長期的にどんな成果に繋がっているかなかなか実感しづらいということです。さらに海外のボランティアということで、その後に訪れるのも簡単ではなく、短期のボランティアの歯がゆさを感じた日になりました。ですが、登山道に私たちが作った階段ができて、レンジャーの人がとっても綺麗で良い階段だね、と言ってくれたことや、レンジャーハウスの整備の一環として川原から運んできて積み上げた石の花壇がとっても綺麗に仕上がっていて、ああ、観光客の人も喜んでくれるかな、など短期的な目線で考えることも私の働くモチベーションになっていました。

また、午後のアクティビティでは環境問題やサステナビリティに関連したディベートやディスカッションなどが行われました。英語が自由に話せない私にとっては難関でしたが、同時に違う国の人がどういった考えを持っているのか聞けることはとても面白い体験でした。こうやって地球規模の問題について地球の様々なところから集まった人同士が話し合い、お互いの意見を交わす機会を持てたことは本当に貴重な体験ができたなと思います。またアクションデイがあったため、その授業準備なども行いました。三つのグループにわかれ、私は異文化紹介のグループとして活動しました。その時、私がその場所では日本代表の立場であるということを実感しました。日本のことについて聞かれて、私もわからない…ということがあり、日本人としてもっと日本について知りたい、知る必要があるなと強く感じました。アクションデイ当日は在コスタリカのイギリス大使館の人もラリーの活動を見学しに来ていて少し緊張しましたが、この授業を受けた子たちが少しでも世界や自然のことについて考えるきっかけになっていればいいな、と思います。ちなみに授業後、女の子達が手遊びをして遊んでいたので、一緒に遊ぶついでにアルプス一万尺を広めようとしましたが、長かったようで失敗しました(笑)と、ここらへんで第2フェーズの報告は終わりにして、第3フェーズの報告に移りたいと思います。

第3フェーズではcommunityのプロジェクトを行いました。このプロジェクトの主な目的としては、コスタリカのindigenous commnunityに幼稚園を建設することでした 。indigenousとは日本語で「土着の」などと訳されるのですが、ここではスペイン人の入植前から住んでいた、独自の言語や文化、自然との繋がりを持っている人々を示す言葉です。私たちがお世話になったコミュニティは入口らしきゲートから松の林を1時間ほど歩き、ぱっと景色が開けて周りの山々と空が同時に見渡せる美しい場所にあるnimaritawa というコミュニティでした。ここではcabecaというスペイン語とは全く違った言語が使われています。ここに幼稚園を建設することで、学校が遠くて通えなかった子どもたちにとって教育を受ける機会を増やすことができます。また、村のまとめ役の方からは「学校を建てる、という目に見えるものだけでなく、英語の授業や異文化交流など目に見えないものでもコミュニティに貢献して足跡を残していってほしい」とのお話を頂きました。そのため、活動は主に建設作業とコミュニティへの文化活動の二つを行いました。

建設作業は何も資材が無いところからスタートしました。建設作業と言ってもその多くは資材(木材と砂)の運搬作業になりました。木材は松の林から切り出してきたものを使い、砂は川原の砂利を袋に入れて運びます。建設場所が丘の上にあるので、この運ぶ作業も人力でひとつひとつ運ぶ必要がありました。みんなでひぃひぃ言いながら砂利を運び、頑張って運んだ砂を袋から出して山を作っていく時、自分が感じていた重さと袋から出てくる砂の量の落差に「たったこれだけ…。」と心が折れそうになりながらも、みんなでリレーのようにつないで働きアリのように何往復もしました。この砂利はコンクリートの材料として使われ、建物の基礎固めと床の部分に使われました。また、運んできた材木は周りの柱や壁になりました。材木は林の中から運んでくるのですが、運んでいる間に材木の重さで肩が痛くなるのでタオルやマットを挟んでクッションにしたり、二人で一緒に運んでみたり、と色々な工夫をしながら運びました。だいたい11時くらいにはお昼ご飯ができて、”Guys, Lunch is ready!!!”という掛け声を合図にみんなで集まって食堂でご飯を食べました。ご飯はコミュニティのお母さんが作ってくれ、ご飯と豆と何か肉や野菜がのっているメニューが多かったです。お昼ご飯を食べた後は一時間ほどの自由時間があり、芝生の上にマットを敷いて、ゴロゴロしたり本を読んだり、と至福の時間でした。また、もう一つの活動である文化活動については毎日午前中に子どもたちに英語の授業をするのと、週三で大人たちに向けて英語の授業やアートクラスを行いました。私はそこで一回折り紙のクラスを行い、鶴を一緒に折りました。少し難しかったようで、クラス中は質問の嵐にてんてこ舞いでしたが、最後にはできた鶴を嬉しそうに持って帰っていく様子を見て、頑張った甲斐があったな、と思いました。英語の授業でも授業後に私たちが作った教材を写真に撮っている姿を見て、日本では英語の授業があるのは当たり前だけど、このコミュニティだとそういった機会がなかなかない、ということに改めて気づくとともに、この英語の授業が少しでもコミュニティの人たちにとって財産になっていればいいなと思いました。

そして私がコミュニティの中で一番楽しかったのは、夜の時間でした。毎晩、火を囲んで満点の星空を眺めながらみんなで歌を歌ったりダンスをしたり、ゲームをしたりとみんなと過ごす時間が最高の贅沢でした。特に、12月6日にオランダ流のクリスマスをみんなでお祝いし、ろうそくを囲みながらプレゼントと詩を交換し合った夜は忘れられません。

また最終日にはアクションデイとして、コミュニティの人々に世界のいろんな国から来た私たちがそれぞれの国を紹介しました。私たちのチームは合計9ヶ国で、このアクションデイの話し合いをした時に9ヶ国もいるの?!と改めて自分たちの多様性に驚きました。プロジェクト最終日がアクションデイの日で、国のご飯を作って紹介することになっていたので、私は卵焼きを作りました。他にもお箸を使って豆つかみのゲームを用意しておいたら、コミュニティの人達だけではなく参加者の人達からも人気でとても盛り上がってくれました。全体でも、コミュニティの方が家族連れで続々と集まってきてました。一個一個のブースをとても丁寧に見ながら、疑問に思ったことを質問したり、各国の料理を食べて楽しんでくれているようでした。私自身も、その国出身の人からその国について聞くと「へーそうなの!」と、新しい発見がいっぱいあり、面白い体験でした。そのあとは教会でコミュニティの人達と一緒にお祈りをして、伝統的な歌を歌ってくれました。こうして、コスタリカの山の中の小さなコミュニティで、いろんな人が一つ屋根の下に集っている、というのが私にとっては改めてとても不思議なことで、ある意味すごい運命的だな、と感じました。最後、コミュニティの人やお世話になった学校にお別れを告げる時は、寂しさはもちろんあるものの、やり切った!という達成感が大きかったです。

と、とっても長くなってしまいましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました。本当はまだまだ書き足りないことがたくさんあります!が、さらに詳しくは報告会でお話したいと思います。最後に応援してくれた方々、本当にありがとうございました。皆さんの応援なしに、私のラリーはなかったと思います。この場をお借りして感謝申し上げます。(2019/1/22 高井保奈美)