Raleigh Tanzaniaを終え、一昨日日本に帰ってきました、早稲田大学4年の吉田悠斗です。すべてのプログラムが終了しましたので、やってきたことを報告させてください。
すでに中間報告でしたように、3つあるphaseのうち、第1phaseはNundu地域におけるWASHプロジェクトでした。そして、11月3日から22日に行われた第2phaseのトレッキングは、非常に辛い体験ばかりでした。何が辛いかというと、トレッキング中は15人のメンバーと声をかけ合って前の人との間隔や歩くペースを調整ながら、30kg近い荷物を背負って時には山あり谷ありの道を1日平均して15kmほど歩くことです。筋肉痛や足にできた豆の痛みをこらえ、その日の目的地であるキャンプサイトについても、川からの水汲みや薪を運んでの食事作り、穴を掘ってのトイレ作りやテントたてが待っています。
また、毎日それぞれのメンバーに役割が与えられます。ある日、ぼくが水汲みを担当したときに、コミュニケーション不足によって朝の水汲みを忘れてしまいました。その結果、キャンプサイトを出発するのも1時間以上遅れてしまったり、また別の日にナビゲーションを担当した日には、route cardを1行読みとばしてしまっては、チームを間違った方向へと導いてしまうなどの失敗をしました。
このように書くと良い思い出がないかのようですが、辛かった体験が多かった分、それらを克服したときの喜びは大きなものでした。例えば、水汲みを忘れてしまった次の日からは、英語が拙いぼくでもチームのために良いと思ったことは正直に恐れずコミュニケーションをとるようにしました。そうすると、お互いに何を考えているのかわかるようになり、信頼関係も生まれ、助け合うようになりました。
また、トレッキング中は半径数メートルもある大きな岩がゴロゴロ転がる谷を抜け、時に見渡す限りの荒野を歩くなど、移り変わる景色を楽しむことができました。そして何よりもチーム全員ですべての行程を歩ききったことは最高の思い出です。
そして、11月24日に最後のphaseを迎えました。主な活動としては、isippiという市町村単位では最小の地域を拠点とした、その地域における環境保護と経済的利益を得、社会保障の充実化を目的とした植林活動です。山の上から川のある麓へとシャベルやバケツ、ジョウロなどの装備を運んでは、短いチューブに土を詰め、松の苗木を植えました。
毎日泥まみれになって村の中心部へと帰ってくるぼくたちのことを、村人の一部は植林活動をしていると言っても信じてくれませんでした。イギリス人を中心とした2度目の侵略か鉱石の採掘だと思ったそうです。海外から集まった人たちが、自分たちの村のために無償で植林しているとは理解し難いのもわかります。しかし、毎週日曜日に教会の活動に参加したり、葬式に参列したり、ロケットストーブの作り方や手洗いの仕方を教えているうちに、コミュニティーの中に溶け込み始め、最後の村でのお別れ会では、多くの人が参加してくれました。
今、こうして10週間を振り返ってみると、生活や体験を共にしたかけがえのない友達ができたことが一番の財産だと思っています。バックグラウンドが異なる人たちでも心を通い合わせることができることに感動しました。またみんな故郷や次の旅へと散っていきましたが、今どんなことをして、クリスマスや年越しを迎えようとしているのかと思うと、いつか会える日があることを祈ってやみません。
最後に、ぼくを応援してくれた皆様に心から感謝申し上げたいと思います。怪我も事故もなく無事帰ってくることができました。海外留学経験のなく、日本人が一人しかいない環境での10週間は激動の期間でしたが、この体験はこれからのぼくの人生に大きく関わってくることを確信しています。また、高野先生がアナウンスしていただいたように、1月28日に報告会をしますので、ぜひお越しください。初めて鶏を絞めた話、VISAの申請が早すぎて、オーバーステイをしていたことに帰りの空港審査で気づいた話などの余談から、まだ具体的には考えていませんが、こんな人間でも10週間タンザニアに送り込むとこんなことを学んで帰ってくるのかということをお伝えできればいいなと思っています。ありがとうございました。(2016年12月19日)